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大阪地方裁判所 昭和46年(わ)156号 判決

本店所在地

大阪市南区南炭屋町一八番地の四

株式会社 銀の山

代表者代表取締役

大谷弓子

本籍

姫路市綱干区興浜一八番地

住居

大阪市西区本田町二丁目二四番地の一

株式会社銀の山取締役

大谷ぎん

明治三〇年七月一日生

右両名に対する法人税法違反被告事件につき、検察官田辺信好出席のうえ審理を遂げ、次のとおり判決する。

主文

被告人株式会社銀の山を罰金三〇〇万円に、

被告人大谷ぎんを懲役六月にそれぞれ処する。

被告人大谷ぎんに対し、この裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予する。

訴訟費用は被告人両名の連帯負担とする。

理由

(罪となるべき事実)

被告人株式会社銀の山は、大阪市南区南炭屋町一八番地の四に本店を置き、同伴旅館を営業するもの、被告人大谷ぎんは、右株式会社銀の山の取締役としてその業務全般を統轄しているものであるが、被告人大谷ぎんは、被告人株式会社銀の山の業務に関し、法人税を免れようと企て、

第一、 被告人株式会社銀の山の昭和四一年一二月一日から昭和四二年一一月三〇日までの事業年度において、その所得金額が一五、八二一、三七八円、これに対する法人税額が五、三二五、〇〇〇円であるのにかかわらず、公表経理上売上の一部を除外し、これによつて得た資金を仮名預金口座に預入して秘匿する等の不正な方法により、右所得金額中一一、三九六、六四三円を秘匿したうえ、昭和四三年一月三一日大阪市南区南税務署において、同署長に対し、右事業年度の所得金額が四、四二四、七三五円、これに対する法人税額が一、三三六、〇〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、よつて同年度分の法人税三、九八九、〇〇〇円を免れ、

第二、 被告人株式会社銀の山の昭和四二年一二月一日から昭和四三年一一月三〇日までの事業年度において、その所得金額が二一、一六九、三二一円、これに対する法人税額が七、一九四、五〇〇円であるのにかかわらず、前同様の不正な方法により、右所得金額中一五、九四九、九九一円を秘匿したうえ、昭和四四年一月三一日前記南税務署において、同署長に対し、右事業年度の所得金額が五、二一九、三三〇円、これに対する法人税額が一、六一二、〇〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、よつて同年度分の法人税五、五八二、五〇〇円を免れ、

第三、 被告人株式会社銀の山の昭和四三年一二月一日から昭和四四年一一月三〇日までの事業年度において、その所得金額が三四、二八一、九七三円、これに対する法人税額が一一、五九九、六〇〇円であるのにかかわらず、前同様の不正な方法により、右所得金額中二二、五五五、四二一円を秘匿したうえ、昭和四五年一月三一日前記南税務署において、同署長に対し、右事業年度の所得金額が一一、七二六、五五二円、これに対する法人税額が三、七一五、五〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、よつて同年度分の法人税七、八八四、一〇〇円を免れ

たものである。

(証拠)

判示全事実につき

一、 収税官吏の田中明男、寺田昭、大谷幸男(二通)、大谷弓子(二通)、森田記正に対する各質問てん末書

一、 下川兼夫作成の確認書九通(大阪国税局査察記録第二〇号の一ないし九)

一、 河野政信作成の確認書(同記録第二〇号の一〇)

一、 梶新蔵作成の確認書二通(同記録第二〇号の一一、一二)

一、 武田武作成の確認書二通(同記録第二〇号の一三、一四)

一、 浅野正雄作成の確認書(同記録第二〇号の一五)

一、 岡田清親作成の確認書(同記録第二〇号の一六)

一、 収税官吏真島秀雄作成の調査書

一、 被告人会社の登記簿謄本

一、 南税務署作成の納付書、領収証書写

一、 南区収入役作成の納付書、領収証書写

一、 南府税事務所作成の領収証書写

一、 収税官吏の被告人大谷ぎんに対する昭和四五年七月二九日付、同年八月一三日付、同年九月七日付、同年一〇月一日付、同月二一日付各質問てん末書

一、 同被告人の検察官に対する供述調書二通

一、 領置してある定期預金メモ(昭和四六年押第二五五号の一)

判示第一の事実につき

一、 南税務署長杉井勤作成の法人税申告書写(昭和四三年一月三一日申告)証明書

一、 大谷弓子作成の昭和四一年一二月一日より昭和四二年一一月三〇日までの事業年度分の修正確定申告書写

判示第二の事実につき

一、 南税務署長杉井勤作成の法人税申告書写(昭和四四年一月三一日申告)証明書

一、 大谷弓子作成の昭和四二年一二月一日より昭和四三年一一月三〇日までの事業年度分の修正確定申告書写

一、 領置してある元帳一綴(前同押号の四)

判示第三の事実につき

一、 南税務署長杉井勤作成の法人税申告書写(昭和四五年一月三一日申告)証明書

一、 大谷弓子作成の昭和四三年一二月一日より昭和四四年一一月三〇日までの事業年度分の修正確定申告書写

一、 高橋章夫作成の供述書

一、 収税官吏中沢光雄作成の現金預金有価証券等現在高検査てん末書

一、 領置してある永和信用金庫用箋メモ一枚(前同押号の二)、担保品預り証袋入メモ一枚(同押号の三)、総勘定元帳二綴(同押号の五)、電信為替金受領証書及び書かん二枚(同押号の七)、支払メモ一枚(同押号の八)

判示第二、第三、の事実につき

一、 収税官吏作成の善茂砂清市に対する質問てん末書

一、 沢谷一作成の確認書(大阪国税局査察記録第二〇号の一七)

一、 西村芳次作成の確認書(同記録第二〇号の一八)

一、 収税官吏の被告人大谷ぎんに対する昭和四五年一〇月一七日付、同年一一月一四日付質問てん末書

一、 領置してある銀の山改築分領収証七綴(前同押号の六)

(法令の適用)

被告人株式会社銀の山の判示各行為はそれぞれ法人税法一五九条一項、一六四条一項に該当するところ、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから同法四八条二項により各罰金額を合算した金額の範囲内で同被告人を罰金三〇〇万円に処する。

被告人大谷ぎんの判示各行為はそれぞれ法人税法一五九条一項に該当するところ、所定刑中いずれも懲役刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから同法四七条本文、一〇条により犯情最も重い判示第三、の罪の刑に法定の加重をした刑期範囲内で同被告人を懲役六月に処し、情状により同法二五条一項を適用して同被告人に対しこの裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予する。

訴訟費用は、刑事訴訟法一八一条一項本文、一八二条を適用して被告人両名の連帯負担とする。

(裁判官 梶田英雄)

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